幸せの形。
「やめてください!」
飲みかけのコーヒーを、迫る上司にぶちまけた。
社内でも有名な女好きと噂だったが
まさか私にまでとは想像してなかった。
バツが悪そうにしていたが翌日も
平然と仕事する姿に腹が立った。
「絶対、男になんかに心許すもんか」
阪神競馬場に行こうと思った。
05年の宝塚記念のことだ。
高1、私の初恋は成就することなく。
23のとき、3年付き合った彼に逃げられ
26から1年一緒に暮らした彼とも駄目だった。
30を迎えた頃、妻子持ちと恋に落ちたが
うだつのあがらない男で将来は無いと思えて終止符を打った。
そして、心に決めた。
「もう男なんてどうでもいい。男社会で戦ってやる」
それから仕事に没頭した。
競馬から離れられないのは
28でした片思いの彼の影響だ。
その年の宝塚記念には3頭の牝馬が出走していた。
アドマイヤグルーヴ、スイープトウショウ、スティルインラブ。
牡馬に立ち向かう彼女たちの応援をとにかくしたかった。
中でもスイープトウショウが好きだった。
いつも調教や馬場入りを嫌がり周囲の男どもを困らせる。
そんな彼女に同士の匂いがした。
蒸し暑い阪神競馬場。15頭がゆっくりとスタートを切る。
スローモーションのように馬が走っていく。
先頭に立ったのは地方の雄、コスモバルク。
タップダンスシチーが追う。
スイープは中団で脚をためている。
「がんばれスイープ」
心の中で呟く。
4コーナーを周ると抜けてきたのはリンカーン。
スイープが大外を周って追い上げてきた。
そして追いすがるハーツクライと
ゼンノロブロイを振り払い
11番人気の彼女の豪脚が
居並ぶ牡馬たちを差し切った。
「やった!やった!」
単勝馬券を握り締めた私の頬に涙が伝った。
「男どもよ、ざまあみろ!」
あれから6年。
彼女は母になり初の産駒が今年デビューすると聞いた。
親友が結婚した哀愁に似ている。
私もアラフォー真っ只中。
やっぱりそろそろ婚活しようかな。
G1 宝塚記念
6月26日(日) 阪神競馬場 芝2200m 一宮 寿司 すし券 でら吟 ランチ 接待 会席 個室 法人 法事 慶事 ランチ 弁当 出前 ワイン 酒